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[連載] 第13回:スマートフォンの次に来るものは何か?

広告とテクノロジーを掛け合わせた「アドテック」という言葉を耳にしたことがある方も多いことでしょう。インターネット広告の表示にAIの技術が広く組み込まれている現在、既存の広告業界は大きな変革期を迎えています。

人工知能の最先端研究やビジネスに携わる方々のお話も交えながら、人工知能の可能性と、未来の経済および経営へのインパクトについて解説していく本連載。

連載第2弾は「人工知能と広告業界」をテーマに、お二人目のゲスト、電通/電通ライブの日塔 史(にっとう ふみと)さんとお話を進めていきます。

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§ この先、スマホに取って代わるものとは?
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(井上)さて、私たちは今、スマートフォンを使うことに慣れてしまっているので、スマホが究極のデバイスで、これ以上の進歩はないのではないか、例えば、100年後も使っているのではと思ってしまうことがあると思います。

しかし、昔テレビが主なメディアだったのがパソコンになり、パソコンからスマホになり…という流れからすると、ますますデバイスが小さくなることも考えられるのではと思いますが、この先どうなるのでしょうか。

(日塔)そうですね。まずは、かなり遡ると、映画館ではシネアドという形での広告がありました。そこにテレビが現れ、パソコンが現れ、今、広告業界では、スマホを中心として広告をプランニングしています。映画やテレビ、PCでの広告がなくなるわけではありませんが、スマホを起点に広告配分を考えていかなければいけない、欠かすことのできない要素になってきているのです。

さらに、メガネや時計、またヘッド・マウント・ディスプレーなども、新しく登場しています。

(井上)確かに、今、スマートウォッチなどが出てきていますね。

(日塔)スマホを上回るものがまだ生まれていないため、100年後も私たちはスマホを使っているんじゃないかと思ってしまうのですが、必ず「次のもの」が現れてくると思います。それは何なのでしょうか。

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§ 小型化し、体により近づくものに
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(日塔)仮説の1つ目は「デバイスは小さいほどよく、体の内部に入るほどよい」ということです。映画からテレビへ、パソコンへ、スマホへと、どんどんデバイスは小さくなっていますし、体に近くなってきているように思います。

映画のスクリーンは館内の前のほうにあります。テレビはお茶の間の真ん中にあります。パソコンは目の前にあり、スマホはポケットに入れます。シンギュラリティ的な文脈でいうと、将来的にはロボットかナノマシンになって、体の中に埋め込まれるかもしれません。SFのような世界ですが、究極形はそうなる可能性もあります。

実際にどのような形になるかは別として、次に来るのはウェアラブルであろうと思います。今のところなかなか爆発的な普及はしていませんが、そのうち抵抗感なく受け入れられるようになってくるのではと考えています。

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§ 音声文化、ヒアラブル全盛時代に!?
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(日塔)2つ目の仮説は「〈映像文化〉から〈文字文化〉へ、そして〈音声文化〉へ」ということです。

(井上)前回お話を伺った湯川さんも「ボイスの時代になる」ということをおっしゃっていました。

(日塔)非常に近いです。人工知能的な用語に「モラベックのパラドックス」というものがあります。アメリカのAI研究者、ロボット研究者のハンス・モラベックが提唱したもので、知能テストやチェスなど高度な推論を行うよりも、1歳児レベルの知覚や運動スキルをコンピュータに与えるほうが多くの計算資源を要するし、はるかに難しい、と彼は言っています。

映像は要素として一番リッチで高度なもののように思えますが、映画などの形で最初に世の中にできました。撮影したものを、そのまままるっと使うことができるため、比較的難易度は高くありません。

次は文字です。パソコンの普及はテキストデータ量の爆発を意味します。要は、機械が文字情報を読み込めるようになったのです。Googleの検索なども、まさしくこの文字文化によって築かれたものです。これを利用することで、Googleは広告でものすごい地位を築いているという段階だと思います。

そして今、GoogleもAmazonも注目しているのが音声です。スマートスピーカーを2社とも出しています。より原始的で知覚的、でも機械化が難しいものに近づいてきているイメージです。

そして最後、「音声は感覚の中でも情動的・本能的」というのが3つ目の仮説です。私は音楽ライブがかつて大好きで、ライブによく行っていたのですが、非常に感情がこもりハイになるという感覚があります。ですので、人の心を動かすには音声がとても重要なのではないかと思っているところです。

これらの仮説3つを総合すると、今後の本命は「ヒアラブル」なのではと考えています。世間的にはまだ広まっておらず、ちょっと前のめりな言葉かもしれません。「ヒア」や、「ヘッドホン」の頭文字と、「ウェアラブル」を組み合わせた用語です。

次回は、このヒアラブルについて取り上げ、連載第2弾のアドテックの最終回としたいと思っています。

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※この『AIとビジネスの未来』は駒澤大学経済学部准教授 井上智洋氏の講義の一部を本メールマガジン用に改編したものです。
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AIとビジネスの未来 2019.04.16 [vol.31]

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