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[連載] 第14回:ヒアラブルの可能性

広告とテクノロジーを掛け合わせた「アドテック」という言葉を耳にしたことがある方も多いことでしょう。インターネット広告の表示にAIの技術が広く組み込まれている現在、既存の広告業界は大きな変革期を迎えています。

人工知能の最先端研究やビジネスに携わる方々のお話も交えながら、人工知能の可能性と、未来の経済および経営へのインパクトについて解説していく本連載。

「人工知能と広告業界」をテーマに、お二人目のゲスト、電通/電通ライブの日塔 史(にっとう ふみと)さんとお話を進めてきた連載第2弾は、本日が最終回です。

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§ ヒアラブルでコミュニケーションが変わる?
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(井上)「ヒア」や、「ヘッドホン」の頭文字と、「ウエアラブル」を組み合わせた造語、「ヒアラブル」が今後スマホに取って代わるものになってくるのではと前回お伝えしました。

(日塔)iPhone7でイヤホンジャックがなくなり、ワイヤレスイヤホンが急速に増えてきたと思います。無線のBluetoothの技術で音声とスマホを結びつけることになります。歩いている途中や、車を運転しているときに関しては音声で対応する、ということがより広まっているのではないでしょうか。

(井上)スマホが危険なのは、「歩きスマホ」に象徴されるように、視界が奪われてしまうことです。地図を見ながらどこかに行きたいとなると、どうしても画面を見ながらになりがちです。それが今では音声だけで、右に曲がってとか、あそこの横断歩道を渡ってとか、教えてくれるようになってきていますね。

(日塔)GPSですね。今の衛星だと誤差は数センチ単位の正確さであるといった報道もありますが、実はまだGPSだけではそれほど正確ではありません。そこに、加速度センサーというものを利用して補正をしています。

カーナビシステムなどでは、GPSと加速度センサーで正確性を補正しているのです。例えば、次の信号を左に曲がってください、到着まで何メートルです、など案内がかなり正確にできるのはそのためです。

スマホに関しては、速度センサーも入っていますが、GPSは、まだそこのカーナビのレベルではありません。スマホの万歩計って、結構、狂ったりしますよね。

(井上)人間の場合、どちらの手に持っているのか、ポケットなのか鞄なのかによって、かなり揺れも変わってきますからね。

(日塔)安定性という点では、人間のナビゲーションに関しては、まだカーナビほどではないということです。

(井上)こういう問題をクリアしていけると、これからどんどんヒアラブルの時代になっていくかもしれないと。そして、しばらくはイヤホンとスマホが連携していくとしても、そのうち、小型化への流れとも相まって、スマホは要らずに、イヤホンだけでいいということにもなるのでしょうか。

(日塔)まず、なくなることはないと思いますが、イヤホンはイヤホン単体で、より多くの仕事をしてくれるようにはなるかもしれません。

先ほどの地図の例で言うと、何かをしながら、歩きながら、走りながら、ということでは音声はとてもいいと思うのですが、やっぱり目で確かめたいという欲望は必ず残ると思っています。重要な情報に関しては、要所要所で立ち止まってパソコンやスマホを開くといったことは続いていくのではないでしょうか。

ただ、音声が発達することによって補助的な、かつ、視覚を奪われない、手を奪われないコミュニケーションスタイルが生まれてくる可能性はあるのではないかと思います。そこにチャンスもあるはずです。

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§ 先進テクノロジー企業もヒアラブルに進出
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(井上)私は英会話が苦手なので、通訳を耳元でやってほしいな、なんて思いますね。

(日塔)日本でもようやく2018年11月に発売されたのですが、Googleは既にワイヤレスイヤホン「Pixel Buds」という、リアルタイム翻訳機能もあるヒアラブルに取り組んでいます。Google翻訳を入れると、音声入力、音声出力ができるので、夢の「ほんやくコンニャク」なんじゃないかと言われています。

今、AmazonやGoogleといった先進テクノロジー企業は、ユーザーの利便性を高めるために、そういったところにも進出を始めているところです。

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§ 広告とAIの今後の発展へ向けて
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(井上)ここまで数回にわたり、日塔さんとお話を進めてきました。AIと広告が、自分の中でうまく結び付くのだろうかと最初は思っていました。でも、そのAIの研究を主にやっているのはIT企業で、そのIT企業の主な収益が広告であることからすると、実は、AIと広告というのは非常に結び付いているものだなと改めて納得することができた気がします。

日本では巨大IT企業がないのでネット広告が弱く、それが故にAI技術の競い合いで勝てないということにもなりかねません。広告とAI、そして広告とネット。この辺りを、われわれ日本の企業や研究者が研究開発をしたり、新しいサービスを立ち上げたりしていくことが、今後の日本の発展につながっていくのかなと思いました。

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※この『AIとビジネスの未来』は駒澤大学経済学部准教授 井上智洋氏の講義の一部を本メールマガジン用に改編したものです。
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AIとビジネスの未来 2019.05.07 [vol.32]

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