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[連載] 第3回: 今後の進展に期待のブロックチェーン(2)

目覚しい発展を遂げている人工知能。このまま技術開発が進んでいくと、あらゆる人間の労働は、人工知能とそれを搭載したロボットなどの機械に代替され、私たちの生活、社会、経済構造が劇的に転換されるでしょう。

本連載では、人工知能の最先端研究やビジネスに携わる方々のお話も交えながら、人工知能の可能性と、未来の経済および経営へのインパクトについて解説していきます。

第1弾は、数回にわたって「人工知能の現状と2歩先の未来」をテーマに、ITジャーナリストとしてAIに幅広い知識をお持ちの、株式会社エクサウィザーズ「きまぐれAI新聞」編集長 湯川鶴章さんと、実際の経済に即しながらお話ししていきたいと思います。

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§ 個人情報の世界的潮流とブロックチェーン
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(井上)個人情報やプライバシーといったテーマも今後AIの進み方に対して大きな影響を与えるのではないかと思います。湯川さんが個人情報とAI、ブロックチェーンとの関わりについて何か考えていることはありますか? 

(湯川)2018年5月に欧州のGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)が施行されました。要点は2つです。自分のデータを活用したいという消費者の要望を満たすこと(データポータビリティ)と、当事者の意に沿わず、勝手に事業者がデータを使うことはできないということ(忘れられる権利)です。逆向きのベクトルが働くため、非常に運用が難しい法律です。

5月に中国で発表された情報保護規則の内容とも似ており、GDPRの思想が世界標準になっていくのではないかと言われています。日本も準拠していかなければならなくなるでしょう。

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§ 会社が潰れる? GDPRのインパクトとは
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(湯川)この法律のすごいところは、罰金が2000万ユーロ(約26億円)、もしくは世界売上の4%(いずれかの大きい方の過料)になっているところです。利益の4%ではなく、売上の4%ですから、例えばFacebookならおよそ1600億円になるなど、額が桁違いになるのです。この罰金により潰れる会社すら出るのではと思われます。

また、EUの方をお客さんに持つ、全てのビジネスに関わってくる法律ですので、日本をはじめ、ほぼ全世界に当てはまる罰金と言っていいでしょう。これにより、全世界がGDPRに準拠した、しっかりとした個人情報の取扱いにするべく、ブロックチェーンを使うという動きも出てくるのではないかと思っています。

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§ 現在のAI業界を席巻する企業が塗り変わる?
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(井上)「ITビッグ4」(もしくはビッグ5)と言われるアマゾンやアップルなどの巨大プラットフォーム系の企業があります。これらの企業は今、データもたくさん持っているし資金力もあるので、どんどんAIに関する研究もできる。そうすると精度の高いサービスが提供できるという、強いものがどんどん強くなっていく状況にあるのではないかと思います。ブロックチェーンによってその状況は変わってくるのでしょうか。

(湯川)可能性はあるかもしれませんが、まだ全く議論されていないところです。

AIはデータを持っていれば持っているほど良いサービスができます。良いサービスにはお客さんが寄ってきますし、お客さんが寄ってくるとさらにデータが集まる、さらにデータが集まるとさらにいいサービスが提供できるという、正のスパイラルに入ってくるわけです。今は、この正のスパイラルを回せる企業が優位に立ち続けてしまいます。それが、AI業界の構造です。

IT/AI業界にとどまらず、他の業界のデータも今後さらにこれら巨大プラットフォーム系の企業によって活用されていくことになるでしょう。そうすると、産業界全体が大手何社かによって制覇されることになるのではないか、というシナリオが今注目を浴びているところです。

しかし、今日お話しているブロックチェーンはさらにその先を行く話です。数社が支配する可能性がある世の中が、ブロックチェーンによって塗り替えられる可能性もでてくるのではないかと思います。

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§ データは中央集権型から変わるのか
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(井上)そうすると、ITの巨大企業が世界を支配するという構造が崩れることもあるのでしょうか。

(湯川)大手企業はグーグルにせよ、アマゾンにせよ中央集権型といわれる形で、全てのデータを自社で持っています。これは設計上、とても危ういことです。データが1か所に集中しますから、ハッカーはその1か所を狙えばいいわけです。

そこで、例えばブロックチェーンで分散して世界の1万か所でデータを持つとすると、ハッカーは1万か所を狙うわけにはいかなくなりますので、設計上の安全性が高まります。よって、ブロックチェーンへの移行という流れになるかもしれません。

また、1か所にデータを集めている大手とは取引すべきではないという流れになれば、分散型の新しいビジネスが出てくるかもしれません。そうすると、経済は集権型から分散型に大きな転換を遂げる可能性があります。

いずれにせよ、IT・AI業界における中央集権はしばらくは続きますので、これまでお話してきた個人情報の話と合わせて各企業や業界の動きはチェックしていきたいところです。

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※この『AIとビジネスの未来』は駒澤大学経済学部准教授 井上智洋氏の講義の一部を本メールマガジン用に改編したものです。
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AIとビジネスの未来 2018.11.20 [vol.21]

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