fbpx

p.school

オンラインでプログラミングを学ぶ

メルマガアーカイブ

[連載] 第10回: アドテックを背景・仕組みから理解する

広告とテクノロジーを掛け合わせた「アドテック」という言葉を耳にしたことがある方も多いことでしょう。インターネット広告の表示にAIの技術が広く組み込まれている現在、既存の広告業界は大きな変革期を迎えています。

人工知能の最先端研究やビジネスに携わる方々のお話も交えながら、人工知能の可能性と、未来の経済および経営へのインパクトについて解説していく本連載。

連載第2弾は「人工知能と広告業界」をテーマに、お二人目のゲスト、電通/電通ライブの日塔 史(にっとう ふみと)さんとお話を進めていきます。

――――――――――――――――――――
§ 新しいテクノロジーと軍事、金融、広告
――――――――――――――――――――

(井上)ではいよいよ本題のアドテックの話に入っていきましょう。

「Xテック」というのは、何かとテクノロジーを掛け合わせた造語で、Xには様々なものを入れることができます。例えば「EduTech」はエデュケーション(教育)とテクノロジー、「ReTech」はリアルエステート(不動産)とテクノロジーというふうに使います。その流れで、広告とテクノロジーを掛け合わせたものが「アドテック」になります。

(日塔)新しいテクノロジーが産業化しやすいジャンルとして代表的なものが軍事、金融、広告の3つです。

(井上)金融は「フィンテック」という言葉が有名になりましたのでわかりますね。しかし、軍事もなんですね。

(日塔)実は、アメリカの国防総省の研究機関(DARPA)でGPSや車の自動運転といった技術開発がスタートしました。国や国民の安全を守ったり、国力にダイレクトにつながったりする産業にはお金が付きやすく、また産業化しやすいのです。

インターネットもまさしく軍事技術の研究開発から発展したものです。また、今、時価総額の上位を占めるシリコンバレー系の企業も、NASAや軍事施設があったエリアに近く、そこが土台になったとも言われています。

なお、広告もかなり早い時期からAIが入り始めた領域と言われています。その理由というのが、リーマンショックです。アドテックの歴史を紐解くと、フィンテックなどのテクノロジーで先行していた金融系の人材が、金融危機によって広告業界に流れてきたことが後押しになっているのです。

――――――――――――――――――――
§ ネット広告は「人」単位の広告
――――――――――――――――――――

(日塔)ところで皆さん、PCなどで何かしらホームページを見るとバナー広告が出てきますよね。広告枠に自分のことをよく知っていそうな広告がバチッと出るときがあると思います。実は、ホームページが表示されてから、その広告枠をめぐって買い付け(=入札)が行われているのです。しかもリアルタイムに。

(井上)あの短い間に?

(日塔)はい。ホームページが表示された瞬間は、実はまだ広告は表示されておらず、少し遅れて、とは言ってもほぼ同時なのですが、広告が表示されるようになっています。

(井上)一瞬で入札から広告の表示までがなされるわけですね。

(日塔)広告主とオーディエンスと言われるそのページを見る人の間にトレーディングデスクというものがあり、ここで配信される広告が決められる仕組みです。今回、詳細は割愛しますが、DSP(Demand Side Platform)という広告出稿の費用対効果を高めたい広告主のためのサービスを集約するようなプラットフォームと、SSP(Supply Side Platform)という広告枠を提供しているメディアの広告収益最大化を支援するツールがあり、これらのプレーヤー間でトレーディングがなされ、買い付けが行われます。

これが全て自動化をされており、入札に参加した広告主があらかじめ指定した条件で落札できると広告が表示される仕組みです。例えば、私や井上先生がホームページを開くと、Cookieと呼ばれる閲覧履歴などの足跡から40代男性ではないかと類推され、40代男性がこのサイトを見たとわかった瞬間にバチバチっと入札が行われ、それに合った広告が発信されることになるのです。

これまでの広告は設定したターゲット像に応じた「枠」単位で考えられていたのに対し、DSP広告では個人の閲覧履歴などにより配信されるため、「人」単位で広告の配信ができるようになりました。テクノロジーとしては、想像よりも発達しているかもしれないですね。

――――――――――――――――――――
§ Google、Facebookは敵か味方か!?
――――――――――――――――――――

(日塔)このようなテクノロジーが進んだ広告業界において、前回もご紹介した通りGoogleやFacebookの存在が他を圧倒しています。もちろん、私たち電通と一部競合する部分は出てきていますが、私たち自身がそれらのユーザーでもあるし、味方でもあるし、パートナーでもあるというわけです。必ずしも、敵視する必要はありません。

(井上)協調できる部分のほうが多いぞ、ということですね。

(日塔)未来というものは一緒に築いていったほうがいいですよね。企業活動を行っていく上で、より良い未来をつくっていくために、まだまだ広告業界でも一緒にやっていけることやチャンスはあるのではないかと考えています。

(井上)Googleもそういうことをよく言っていますよね。他の業界を荒らし回ることはしたくないと。例えば、自動車業界において、今後トヨタのライバルはGoogleになるのではないかと言われたりすることもありますが、そうではなく、協力し合うというスタンスであるとのことです。

(日塔)彼らは、純粋に未来をつくっていきたいっていう意向がすごく強いのだなと感じます。それこそシンギュラリティのような一神教的な理想像に向かって邁進しているという印象がすごくあります。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
※この『AIとビジネスの未来』は駒澤大学経済学部准教授 井上智洋氏の講義の一部を本メールマガジン用に改編したものです。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

AIとビジネスの未来 2019.03.05 [vol.28]

隔週火曜日で配信されるメルマガでは、この記事の内容をいち早くお届けしています。また、メルマガでしか購読できない「IT最新情報」やp.schoolの情報も掲載していますので、メルマガにご登録してみてください。⇒登録はコチラ!!

~ プログラミングxリベラルアーツxビジネス 子供も大人も親子でも学べる 最新プログラミング教育 オンライン・プログラミングスクール p.school ~