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[連載] 第9回: 広告業界の今とインターネット広告の特徴

広告とテクノロジーを掛け合わせた「アドテック」という言葉を耳にしたことがある方も多いことでしょう。インターネット広告の表示にAIの技術が広く組み込まれている現在、既存の広告業界は大きな変革期を迎えています。

人工知能の最先端研究やビジネスに携わる方々のお話も交えながら、人工知能の可能性と、未来の経済および経営へのインパクトについて解説していく本連載。

連載第2弾は「人工知能と広告業界」をテーマに、お二人目のゲスト、電通/電通ライブの日塔 史(にっとう ふみと)さんとお話を進めていきます。

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§ GoogleとFacebookの2社が世界の25%を占める
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(井上)日塔さんは広告業界にお勤めですので、まずはインターネットと広告業界についてお話をお伺いしたいと思います。

(日塔)今、広告の話をするのに欠かせない、この2社からお話ししましょう。

1社目はGoogleです。GoogleではI/O(「I/O」はinput/output(入出力)とスローガンである「Innovation in the Open=開かれたイノベーション」を表しているそうです)という開発者向けイベントを年1回開催しています。2017年には「モバイルファーストから、AIファーストへ」、2018年に関しては、「人工知能センターを世界中にオープンする予定」と発表しています。

もう1社はFacebookです。FacebookもF8という開発者向けのカンファレンスを行っていますが、2016年に10年ロードマップを彼らは発表しています。その際、大きな柱の一つとして「AI」を掲げていたことは見逃せません。

Googleの2017年第2四半期の決算資料に、バチッと広告売上比率が出せる資料があったので、電卓をはじいてみました。すると、Googleのセグメント売上において86.4%と、ほとんどが広告によるものだとわかりました。

(井上)ちなみに残りは何の売上なのでしょう。

(日塔)残りは、皆さんのスマートフォンの中にAndroidというOSが入っていたり、そこで、アプリを売ったりしています。また、ハードウエアを今たくさん作っていますよね。例えば「Google Home」などが挙げられます。今、一生懸命ものづくりをしているのも特徴です。

一方、Facebookはさらにすごい数値です。広告売上比率が98.5%です。情報マネジメントに問題があったことで叩かれましたが、広告を軸にますます成長している状態です。

とある統計によると、世界中の広告収入のなんと25%、4分の1を、GoogleとFacebookの2社が占めているとあります。すごいことです。オンライン広告に限ると、さらにすごいことに、ほぼ6割をこの2社が占めているという統計もあります。

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§ ネット広告がまもなくテレビを追い抜く
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(日塔)これまでを振り返ってみると、広告とテクノロジーとは非常に密接であると思います。古くは印刷技術があったからこそ雑誌広告、新聞広告が生まれ、放送技術があったからこそラジオ広告、テレビ広告がありました。そして、インターネット技術によってネット広告が生まれました。IT企業が世界の時価総額上位を占めるようになったのは、ここ10年、20年の話ですが、広告業界もそれに伴い急成長してきた印象があります。

これまで、「4マス」と呼ばれていた四つのマスメディア:テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、これにインターネットを加えて広告の媒体費を比較すると、日本市場ではインターネットはぐっと伸びて1.5兆円です。まだ一番高いのがテレビで2兆円弱ありますが、追い抜かれるのは時間の問題でしょう。国によってはすでに追い抜いているところもあります。

(井上)日塔さんの電通さんも、テレビだけじゃなくて、インターネット広告のシェアを広げていかないといけないという話になりますね。

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§ プレーヤーがひしめくネット広告の特徴とは
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(日塔)おっしゃる通り今、非常に力を入れているところです。ここでインターネット広告の特徴をお話ししましょう。

まずは、デジタル広告の中ではプレーヤーがひしめきあっているということです。旧来型の広告会社でいうと、先ほど申し上げた4マスメディアに関しては、プレーヤーはここまでは多くはありません。指定代理店制度という、代理店を通して数限りない広告主と付き合っていくモデルがあり、電通などはこの仕組みで貢献をしてきたという自負があります。マス媒体とのパートナーとして、貢献した分の利益をいただくというスタイルです。

一方、ネット広告というのは、YahooやGoogle、Facebookのようなプラットフォーマーと、テクノロジーベースでダイレクトにやり取りすることができます。極端なことを言うと、個人でもクレジットカード決済で広告が出稿できてしまう世界です。また、利益率で言うと、やはり低めな傾向があります。

広告業界としてどうやって新しいビジネスモデルを構築していくかが、今とても大きな課題です。

(井上)4マスのほうが利益率が高くて、ネットのほうが低いというのは、プレーヤーがネットのほうが多いからということでしょうか。

(日塔)多いですし、やはりビジネスモデルの「仕組み」をつくった人が儲けられる時代です。先ほどの、Google、Facebookの巨大さぶりや成長の早さにも表れているのではないでしょうか。

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※この『AIとビジネスの未来』は駒澤大学経済学部准教授 井上智洋氏の講義の一部を本メールマガジン用に改編したものです。
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AIとビジネスの未来 2019.02.19 [vol.27]

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