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[連載] 第6回: “中国の今” を的確に掴む

目覚しい発展を遂げている人工知能。このまま技術開発が進んでいくと、あらゆる人間の労働は、人工知能とそれを搭載したロボットなどの機械に代替され、私たちの生活、社会、経済構造が劇的に転換されるでしょう。

本連載では、人工知能の最先端研究やビジネスに携わる方々のお話も交えながら、人工知能の可能性と、未来の経済および経営へのインパクトについて解説していきます。

今回も、「人工知能の現状と2歩先の未来」をテーマに、ITジャーナリストとしてAIに幅広い知識をお持ちの、株式会社エクサウィザーズ「きまぐれAI新聞」編集長 湯川鶴章さんと、実際の経済に即しながらお話ししていきたいと思います。

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§ 中国のAI・科学技術の躍進を数字で見る
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(湯川)この5年間の中国の追い上げについて、日本でもものすごく意識している人もいれば、のんびり構えている人もいます。5年前に中国に行ったけれど、まだたいしたことがなかったよという方がいますが、この5年間での伸びがすごいということを認識すべきでしょう。

(井上)何か、わかりやすい例はありますか?

(湯川)例えば、全世界のAIベンチャーへの投資総額のうち、48%が中国に行っています。次いでアメリカが38%です。そして、残りの13%は日本を含むその他の国々に投資されています。日本は○%であると表示できないくらい少ないわけです。

また、特許件数も中国が伸びてきています。Artificial IntelligenceやDeep learningといったAIに関連した分野においても、中国がこの2~3年で急にたくさんの特許を取っています。

研究の裾野が広いというのも中国の特徴です。自然科学、エンジニアリングの博士号取得者は中国がものすごく伸びています。学生数を見ても、アメリカやその他の先進国では横ばいの中、中国が圧倒的に数を増やしてきています。2000年ごろには中国とアメリカはほぼ同数の学生数だったのが約15年の間に、アメリカの約4倍の人数にまで増えています。エンジニアリング、数学が得意な生徒がものすごくいて、この先まだまだ増えてくるというのが現在の中国です。

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§ ビジネスモデルも日本の先を行く?
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(湯川)次に、ビジネスモデルを見ても中国が躍進してきているという話をしたいと思います。

例えば、中国のエンターテイメントにおいて、動画を見ている時間が2016年は13%だったのですが、2018年では22%に増えています。長い動画の視聴は横ばいなのに対して、増えているのは5分以内の短い動画です。実は、これが次の世界標準になってくるのではと言われています。新しいエンターテイメントは今中国から生まれてきているのです。

昔「タイムマシン経営」という言葉が使われていたことがあります。これは、一足先にアメリカで流行っていることを、そのまま日本に持ってきたら日本でも流行るということを意味していました。しかし、最近では中国の真似をするタイムマシン経営になっていると言われてきており、その例として動画を活用したエンターテインメントのブームが次に来るのではないかと考えられます。

(井上)中国を見れば2歩先の未来が見えるということでしょうか?

(湯川)いや、半歩先ですね。しかし、中国の動向を見ていれば今後の日本のビジネスモデルが見えてくるのは事実かと思います。

ほかにも、中国ではネット番組を制作する予算が、2018年には地上波の番組を制作する予算に追いつきました。日本はまだ地上波が優位ですが、いずれ日本も逆転することが予想されます。

また、リテールの中でネットで購入するEコマースの割合は、日本でも2000年超えたくらいからゆっくり増えてきたことを実感されていると思います。しかし、中国では2009年に突然急激に増え、今はあっという間に世界1位です。お店で買うよりネットで買うことが当たり前になり、新しいビジネスもここからどんどん増えてきています。

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§ 中央集権的な国だからこそできること
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(井上)中国は人口が多いから研究者も多いというのはわかるのですが、それにしても先進的な取り組みが多いというのは、なにか風土に違いがあるのでしょうか。共産圏とは思えないイノベーションの進展です。

(湯川)実は、国が強い権威を持つ中央集権的な国はAIの進展にすごく向いている面があります。国が主体的にデータを集めてくれますし、プライバシーに関しても国民の反発心は少ない傾向にあります。例えば、「天網」(英語ではスカイネットとも)という監視カメラで、14億人弱の中国人の顔を認識しており、それで国民の行動を監視していると言われています。

(井上)私が聞いた限りでは、国民一人ひとりに対して「犯罪の確率」を数値化しているらしいのです。

(湯川)例えば、横断歩道で信号を無視すると「×」がつくわけです。全部記録されているので、あまり行動がよくない人はビザが取れないとか、航空券が取れないとかいうことも起きてきています。

これを西側のメディアが報道すると、気持ちが悪い、全体主義で監視社会だ、となるのですが、中国に住んでいる日本人に聞くと、ポジティブに評価している人もいるようです。というのは、強制されたにせよ、どんどんマナーが上がっている印象を受けるというのです。その結果、全体の犯罪率が減り社会が良くなっていく可能性もあります。

(井上)ある店で包丁を買っただけでは個人の点数は変わらないのですが、包丁を買った後にロープを買ったということになると、犯罪の確率が上がるという話を聞いたことがあります。その確率がある閾値を超えた場合に、警察が尾行するという仕組みを実験的にある都市でやっているということです。賛否両論ありますが、犯罪に直結することであれば、そこまでやるのも良いのかなとは思います。でも一方で、道徳までは口を出してほしくないと僕なんかは思います。

(湯川)どのあたりがみんなにとってハッピーなのかという議論ができればいいですよね。

いずれにせよ、AIはデータが全てですし、中国はデータがたくさん取れるわけですから、中国でのAIの活用が伸びるかといえば、伸びるしかないと思いますね。アメリカを超えるのかどうかというと、超えるしかないと僕は思います。

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※この『AIとビジネスの未来』は駒澤大学経済学部准教授 井上智洋氏の講義の一部を本メールマガジン用に改編したものです。
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AIとビジネスの未来 2019.01.08 [vol.24]

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