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[連載] 第11回:技術の進歩を理解し、受け入れ、備える

 

ここ1、2年でAI( Artificial Intelligence)という言葉がブームと言ってもいいほど浸透し、いよいよAI時代に突入してきました。その中で、未来の技術面のみを問うケースも多く見られます。

本連載では、その背景やトレンドについても説明するのと同時に、AIが一体どのような形で企業や、社会で仕事や生活をしている私たちに影響を与えるかをお伝えできればと思います。

後編は
1.スマートマシンの最前線
2.人間の強み
3.人間の生き延びる道
の3つのテーマでお届けします。

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§ 技術の進歩を大局的に捉える
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「スマートマシンの最前線」をこれまで2回にわたってお伝えしてきましたが、今回は少し観点を変えて見てみましょう。

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人工知能、ポーカーでもプロに圧勝(2017年2月1日)
ポーカーがチェッカーや囲碁と根本的に異なるのは、対戦中に相手の手札が見えないことだ。「不完全情報」に基づくゲームで、対戦相手が取りうるあらゆる手を考慮しつつ、理想的な戦略を探り出すのはとてつもなく複雑な作業である。
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強化学習はゲーム以上に多くの分野で優れた知性をもたらす寸前の段階(2017年2月23日)
プログラムで判断させるにはあまりに複雑な用途でも、強化学習なら機械が試行錯誤することで、上手なやり方を自分で獲得できる。囲碁で威力を証明したテクノロジーは、あらゆる場面で適切に判断する自立運転の実現に欠かせない。
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グーグルやインテルなどの研究の成果が、これまでにない力を秘めたコンピュータの開発に大手をかけている(2017年2月23日)
量子コンピュータは人工知能プログラムの実行や複雑なシミュレーションの処理速度を指数関数的に高速化できる。さらに解読不可能な暗号の生成すらできるようになる。
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これらのニュースは、技術の進歩を大局的に捉えることができます。少し前にかなりの話題になったのは、DeepMindというグーグルの子会社が開発したAlphaGo(アルファ碁)というコンピュータ囲碁プログラムです。囲碁の世界チャンピオンと対局して、人間を負かしたというニュースが2016年の大きなニュースとなりました。今度はそれをポーカーで行ったというものです。

天文学的なパターンがある囲碁の対局では、どの様に碁石を置いていくべきかを機械が学習し、機械が判断したというのも1つの大きな成果でしたが、ポーカーというゲームは内容が全く違います。これは、相手方と自分の手札のどちらが強いかという判断だけではなく、場合によっては手札が悪くても、どのような動き方をするかによって勝敗が分かれてくるという特徴があるためです。見えない情報、手元にない情報について勝負をしなければならない状況下でも、人間と同等のことができるようになってきているというものです。

その背景には、2つ目のニュースで取り上げられている「強化学習」と言われているものが存在します。強化学習は英語で「Reinforcement Learning」と言われ、繰り返し行ったことから現在の状態を観測し、さらに機械が自身で知識を加えることによって取るべき行動を決定していくというAIの技術の一つです。

今までのAIはルールに基づいて動き、次の段階として大量のデータを読み込ませ、そのデータと照合しながら判断を下すというもので、ここまでは簡単なAIと言われています。それに対して、子どもが自転車に乗って何度もひっくり返りながら繰り返し学習し、そのうちだんだんどうすれば転ばなくなるかということを体で覚えたり、試行錯誤の結果覚えたりするのと同様のことを機械が行うのが、この強化学習です。

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§ 次の決め手は「量子コンピュータ」
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この強化学習により、ロジックの部分では考え方が1つ発展したということになります。そして、これを支えるためにコンピュータの力もさらに発展させる必要が出てくるのです。コンピューティングパワーは、これこそ日進月歩で進んでいる領域ではありますが、同時に、まだまだ処理能力には限界があると言われています。ここが次の技術のブレークスルーになるところなのです。今後「量子コンピュータ」というものが使われるようになると、今までできなかった本当に膨大な量のデータ処理ができる時代がやってくることになります。

量子コンピュータの話が出てくるようになってもう何年も経つのですが、それがどの段階に来ているかというと、上記のニュースを見ると、まさに飛躍の段階に近づいてきているのではないかと推察されます。一般的に使われるようになる日もそれほど先の話ではないのかもしれません。そうすると、AIを教育する段階のロジックが進むだけではなく、それを支える計算能力が一気に大きくなり、2045年には機械が人間と同等もしくは人間より賢くなるという、俗に言われているシンギュラリティに近づいてくる可能性が十分にあると考えてもいいのではないかと思います。

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§ 技術の進歩を理解し、受け入れ、次に備える
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シンギュラリティが来るのか来ないのか、果たして機械の方が人間よりも賢くなるのかならないのかということを、いくらここで議論しても仕方がないことでしょう。もちろん、来るべきシンギュラリティに向け、人間がどのように対応すべきか考えることも重要な論点かもしれません。しかし、それよりもまず私たちは、技術が確実に進んでいるということを理解し、それを否定することなく、どのようなことが既に起きているのか、何ができていて何ができていないのかということを、今の時点で理解しておくことが重要かと思います。

シンギュラリティが起こると言われているのは30年先の話です。それまでの間に技術は様々な形で進歩しますし、私たちの生活の仕方も変わってきます。その中で、この先30年間だけでもどのように過ごすべきなのかを、次回以降みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

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※この『AI時代の勝者と敗者』はアセントロボティクス株式会社 代表取締役 
石﨑雅之講師の講義の一部を本メールマガジン用に改編したものです。
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AI時代の勝者と敗者 2018.07.17 [vol.12]

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